「気づいたら朝になっていた」「やめようと思った時間から3時間経っていた」。ゲームに関する困りごとの多くは、この時間感覚のずれから始まります。本人が困っている場合もあれば、家族が心配して調べているという場合もあるでしょう。
ここでは、ゲーム障害という考え方と、単に長時間遊んでいる状態との違いを整理したうえで、本人・家族それぞれができる具体的な対策と、公的な相談先を紹介します。
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ゲーム障害という考え方
世界保健機関(WHO)が定める国際的な疾病分類ICD-11には、「ゲーム障害(gaming disorder)」が位置づけられています。日本語では「ゲーム症」と表記されることもあります。
ここで挙げられている特徴は、おおむね次の3点です。
- ゲームをする時間や頻度を、自分でコントロールできない
- ゲームが、ほかの生活上の関心事や日常の活動より優先されている
- 問題が起きているにもかかわらず、続けている、あるいはさらに増えている
加えて、こうした状態によって生活や学業、仕事、人間関係に明らかな支障が生じており、通常は12か月以上続いていることが目安とされています(症状が重い場合は、より短い期間で判断されることもあります)。
大切なのは、プレイ時間の長さだけで決まるものではないという点です。長く遊んでいても生活が回っているなら、それは趣味の範囲です。問題は、支障が出ているのに止められないかどうかにあります。

なぜ、やめにくいのか
意志が弱いからではありません。やめにくくなる要素が、いくつも重なっています。
設計としての続けやすさ
多くのゲームは、続けたくなるように設計されています。ログインの特典、期間限定のイベント、あと少しで届く報酬、ランダム性のある入手要素。区切りをつけにくい構造そのものが、時間を伸ばす方向にはたらきます。
オンラインでの人間関係
仲間と一緒に遊ぶ形式では、抜けると迷惑がかかるという意識が働きます。やめたい気持ちと、抜けにくい人間関係が同時に存在するため、本人の中で葛藤が生じやすくなります。
逃げ場としての役割
学校や職場、家庭でつらいことがあるとき、ゲームはすぐ手が届く居場所になります。この場合、ゲームを取り上げるだけでは、つらさの行き先がなくなってしまいます。背景に何があるのかを見ることが欠かせません。
本人ができる対策
我慢だけで乗り切ろうとすると続きません。意志ではなく、環境と手順で区切りをつくるのが要点です。
1. 時間を記録して、見える形にする
まず1週間、実際のプレイ時間を書き出してみてください。感覚として捉えている時間と、実際の時間には差が出ることが多いものです。スマートフォンやゲーム機の利用時間表示機能を使うほか、方眼ノートに開始と終了の時刻を1行書くだけでも構いません。
2. 終わりの合図を外側に置く
自分で「あと1戦」と決めても、たいてい守れません。キッチンタイマーを別に用意して鳴らす、決まった時刻に電源が落ちるタイマー付きコンセントを使う、といった外部の合図が助けになります。人と約束した予定を入れてしまうのも一つの方法です。
3. 始めにくくする
コントローラーを別の部屋にしまう、アプリをホーム画面から外す、通知を切る。手に取るまでの手数を増やすだけで、無意識に始めてしまう回数が減りやすくなります。スマートフォン自体を一定時間預けるタイマー式のロック収納ボックスを使っている方もいます。
4. 課金に枠をはめる
使う額を決め、それ以外の支払い手段を登録から外します。プリペイドカードや残高の決まった手段だけを使う形にすると、上限が物理的に決まります。
5. 代わりの時間を先に決める
空いた時間に何もないと、元に戻りやすくなります。散歩に出る、風呂に入る、人と会う。玄関にクッション性のあるウォーキングシューズを出しておくといった小さな準備が、行動を変える引き金になります。
画面から離れる代わりの時間を考えるとき、耳で聴く読書という選択肢もあります。audiobook.jpは、聴き放題プランが月額1,330円で、初めて登録する方には14日間の無料体験が案内されています。散歩や家事の合間にも聴ける形ですが、ゲーム依存の対策になるものではなく、時間の使い方のひとつです。詳しくは公式サイトで確認できます。

6. 睡眠を最優先にする
夜のプレイは睡眠を削り、翌日の判断力を落とします。すると、また区切りがつけにくくなる。この循環を断つには、就寝時刻を先に決めてしまうのも一つの方法です。寝室に端末を持ち込まないことも、あわせて検討してください。


家族・保護者ができること
心配のあまり、いきなり取り上げたり回線を切ったりする対応は、関係の悪化を招きやすいとされています。話し合いの窓口が閉じてしまうと、その後の支援にもつながりにくくなります。
- 取り上げる前に、まず話を聞く。何が楽しいのか、何から離れたいのかを知る
- ルールは一方的に決めず、本人と一緒に決めて紙に書く
- 守れなかったときの対応も、あらかじめ決めておく
- ゲーム以外の時間が楽しめる状態をつくる。取り上げるだけでは空白が残る
- 睡眠・食事・登校や出勤といった生活の柱を優先項目にする
- 家庭内だけで抱え込まない。学校や専門機関に相談してよい
年齢によっては、機器側のペアレンタルコントロール機能で利用時間や課金の上限を設定できます。ただし、設定だけで解決するわけではありません。制限は話し合いの代わりにはならないという点は、押さえておきたいところです。
相談できる窓口
生活に支障が出ている状態が続いているなら、専門の窓口に相談する段階です。
- 精神保健福祉センター:各都道府県・政令指定都市に設置されており、依存に関する相談を受け付けています。地域の医療機関や支援団体の情報も得られます。一覧は全国精神保健福祉センター一覧のページで確認できます
- 保健所:地域のこころの健康相談の窓口です
- 専門の医療機関:依存症対策の全国拠点機関である久里浜医療センターをはじめ、ゲームやインターネットの問題に対応する医療機関があります
- 学校のスクールカウンセラー・教育相談:お子さんの場合、学校経由で相談できることがあります
こころの不調全般の相談先は、厚生労働省のみんなのメンタルヘルスにもまとめられています。気になる症状が続く場合は、医療機関へ相談してください。


ルールを決めるときの具体的な進め方
家庭でルールを作るとき、「1日1時間まで」とだけ決めて終わりにすると、たいてい機能しません。運用できる形にするには、いくつか押さえておきたい点があります。
時間ではなく、順番で決める
「宿題と入浴を終えてから」「翌日の準備が済んでから」というように、行動の順番で組み立てるほうが守られやすくなります。時間の総量だけを制限すると、残り時間をめぐる言い合いになりがちです。
終わりの時刻を、区切りやすい形にする
対戦や協力プレイの途中で急に切り上げるのは、本人にとっても周囲のプレイヤーにとっても難しいものです。「22時になったら次の試合には入らない」というように、区切りのタイミングを踏まえた決め方にしておくと、無理が減ります。
守れたときの扱いも決めておく
ルールは、破ったときの罰則だけが決まっていることが多いものです。守れた日をどう扱うかも一緒に決めておくと、続ける動機が生まれます。カレンダーに印をつけるだけでも構いません。家族の目にとまる場所に貼れる壁掛けタイプだと、書き込んだことが共有されやすくなります。
定期的に見直す
一度決めたルールを固定し続けると、実態と合わなくなります。月に一度は話し合い、無理があった部分は調整してください。見直しの場があること自体が、話し合いの窓口を開いておくことにつながります。
本人が「問題ない」と言っている場合
家族が心配していても、本人にその自覚がないことは珍しくありません。このとき、説得や議論に持ち込んでも、たいてい平行線になります。
役立ちやすいのは、評価ではなく事実を共有することです。「ゲームばかりしている」ではなく、「今週は3日、学校に間に合わなかった」というように、起きている出来事を具体的に伝えます。責める言い方にならないよう、伝える場面と口調にも配慮が要ります。
それでも状況が動かない場合は、家族の側だけで相談窓口を利用してください。関わり方についての助言を受けられるほか、家族自身の消耗を減らすことにもつながります。本人が納得して相談に向かうまでには時間がかかることもあります。その間、家族が孤立しない状態を保つことが大切です。
ゲーム依存に関するよくある質問
Q. 1日何時間からが問題ですか。
A. 時間だけで線を引くことはできません。睡眠、学業や仕事、食事、人との関わりに支障が出ているかどうかが判断のポイントになります。長時間遊んでいても生活が保たれているなら、それは趣味の範囲として扱われます。
Q. 取り上げれば解決しますか。
A. 一時的に時間は減っても、根本的な解決にはつながりにくいとされています。背景に学校や職場でのつらさがある場合、逃げ場を失うだけになることがあります。まず話を聞くところから始めてください。
Q. 子どもがルールを守りません。
A. 一方的に決めたルールは守られにくいものです。本人と一緒に決め、守れなかった場合の対応も含めて紙に書いておくと運用しやすくなります。それでも難しい場合は、学校や専門機関に相談してください。
Q. 大人でも相談できますか。
A. できます。精神保健福祉センターや保健所の相談は年齢を問いません。仕事や家庭への影響が出ている段階であれば、早めに相談することをおすすめします。
Q. ゲームをやめれば元の生活に戻れますか。
A. ゲームを減らすことは手段のひとつであって、目的ではありません。睡眠や生活リズム、人との関わり、学校や職場でのつらさなど、周辺の要素を一緒に整えていくことが回復の助けになります。
まとめ:時間ではなく、生活が回っているかを見る
ゲーム依存への対策は、プレイ時間を短くすることだけでは完結しません。睡眠を守る、終わりの合図を外側に置く、課金に枠をはめる、空いた時間の使い道を先に決める。こうした環境づくりが土台になります。
そして、支障が出ている状態が続いているなら、公的な相談窓口につながってください。家族だけでの相談も可能です。責めることからは何も始まりません。ゆっくりでかまいませんので、今日は相談先を調べるところまで進めてみてください。
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