この記事は、長く続いたつらい経験のあとに起こる心の反応を扱います。読んでいて苦しくなったら、途中でやめて大丈夫です。今日読み切る必要はありません。
「PTSDの説明を読んでも、自分の状態と少しずれている気がする」「フラッシュバックもあるけれど、それ以上に人との関わり方や、自分自身への感じ方がずっとつらい」。そんな違和感を持って調べているうちに、複雑性PTSDという言葉にたどり着いた方もいるのではないでしょうか。
ここでは、複雑性PTSDがどのように位置づけられている概念なのか、症状の特徴、そして治療がどんな順番で進められるのかを整理します。

🌿 自分に合う漢方を知りたい方へ
LINEで薬剤師に相談できるオンライン漢方薬店「YOJO」

- ✅ LINEで約3分の体質チェック
- ✅ 漢方選びを薬剤師に無料で相談できる
- ✅ 相談して決めた漢方を自宅にお届け
- ✅ 取り扱いは第二類・第三類医薬品
※体質チェックと相談までは無料。つらい状態が続く場合は、まず医療機関にご相談ください
複雑性PTSDはどんな位置づけの概念か
複雑性PTSD(複雑性心的外傷後ストレス症)は、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類の第11版であるICD-11において、あらためて位置づけられた診断名です。それ以前から研究者の間で議論されてきた概念が、国際的な分類のなかに取り入れられた形になります。
背景にあるのは、長期間にわたって繰り返される、逃れることが難しい状況での体験です。単発の出来事によるPTSDとは、症状の広がり方が異なると考えられてきました。
なお、アメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-5には、複雑性PTSDという独立した診断名は置かれていません。つまり用いる診断基準によって扱いが異なる概念であり、医療機関によって説明の仕方に幅があるという点は知っておいてください。
複雑性PTSDの症状|PTSDの症状+3つの領域
ICD-11の考え方では、複雑性PTSDはPTSDの症状に加えて、自己組織化の障害(DSO)と呼ばれる領域の症状がそろっている状態として説明されます。
ベースとなるPTSDの症状
- 再体験:意図しないタイミングで、当時の記憶や感覚がよみがえる
- 回避:思い出させる場所・人・話題・状況を避ける
- 現在の脅威感:常に警戒している、物音に過剰にびくつく、眠りが浅いなど
加わる3つの領域(自己組織化の障害)
- 感情調節の困難:感情の波が激しい、または逆に感情が動かなくなる。小さなきっかけで大きく崩れ、立て直すのに時間がかかる
- 否定的な自己概念:「自分には価値がない」「自分が悪い」という感覚が根深く続く
- 対人関係の困難:人との距離が近すぎたり遠すぎたりする。関係を保つことが難しい、人を信じられない
これらに加えて、生活や仕事、人間関係に支障が出ていることが条件として挙げられます。
特に3つ目の領域は、本人にとって「性格の問題」「自分がだめだから」と受け取られやすいところです。しかし長く続いた状況を生き延びるために身についた反応として理解するという視点があることを、知っておいてほしいと思います。

他の状態と見分けがつきにくいこともある
感情の波、自己否定感、対人関係の難しさといった特徴は、他の状態でも見られるものです。そのため、複雑性PTSDは他の診断と重なったり、区別が難しかったりすることがあります。
また、うつ状態、不安、睡眠の問題、体の不調などをともなうことも多く、最初は別の理由で受診して、経過のなかで整理されていくケースもあります。
自己判断で「これだ」と決めてしまうと、かえって適切な支援から遠ざかることがあります。気になる点はメモにまとめて、医師に伝えるところから始めてください。
治療はどう進むのか|段階を踏むという原則
長く続いた体験に関連する状態では、いきなり記憶に踏み込むアプローチはとられません。段階を踏んで進めるという考え方が共有されています。
第1段階:安全と安定をつくる
最初にやるのは、記憶に向き合うことではなく、今の生活を安全で安定したものにすることです。
- 睡眠、食事、生活リズムを整える
- 感情が大きく揺れたときの、自分なりの落ち着き方を身につける
- 安心できる人間関係や場所を確保する
- 必要に応じて、経済面・住まい・法的な問題への支援につなぐ
この段階に時間がかかることは珍しくありません。土台ができていないうちに次に進まないことが、遠回りに見えて着実な進み方だとされています。
第2段階:記憶やその影響を扱う
安定が得られてきた段階で、必要に応じてトラウマに焦点をあてた心理療法が検討されます。持続エクスポージャー療法や認知処理療法、EMDRなど、専門的な訓練を受けた実施者のもとで行われる方法があります。
この段階に進むかどうか、いつ進むかは、状態を見ながら本人と一緒に決めるものです。
第3段階:生活を組み立て直す
人との関わり方、仕事、これからの生き方をあらためて組み立てていく段階です。ここも短期間で終わるものではなく、日常の積み重ねになります。
薬物療法の位置づけ
睡眠の問題や気分の落ち込み、不安が強い場合には、薬物療法が併用されることがあります。薬は症状の一部を扱うものであり、心理療法や生活の立て直しと組み合わせて考えられます。種類や使い方は医師の判断によります。自己判断での中止は離脱症状につながることがあるため、減らしたいときも主治医に相談してください。

日常でできる、自分を支える工夫
1. 感情が揺れたときの手順を決めておく
崩れてから対処法を考えるのは難しいものです。落ち着いているときに、手順を紙に書いて見える場所に貼っておく方法があります。
「水を飲む→冷たいものを握る→5つ見えるものを数える→誰かに連絡する」といった具合に、順番まで決めておくと迷いません。ポケットに入るシリコン製のハンドグリップボールや、保冷剤を常備している方もいます。
2. 眠りの環境を整える
眠れない日が続くと、感情の波は大きくなりやすくなります。
- 遮光等級1級のカーテンで光をコントロールする
- 就寝用の低反発フォームタイプの耳栓で、物音の刺激を減らす
- 目元を圧迫しない立体構造のアイマスク
- 体に適度な重みがあると落ち着くという声もあり、ウェイトブランケットを使う方もいます(感じ方には個人差があります)
「寝室が安心できる場所かどうか」は人によって条件が違います。入口が見える配置がよい方もいれば、逆の方もいます。自分にとっての安心を優先してください。
寝室の環境づくりとして寝具を見直したいときは、枕やマットレスなどを扱うGOKUMIN(ゴクミン)の公式ストアで探してみる方法もあります。枕には高さを調整できるタイプが複数あります。寝具は医療機器ではなく、つらさを和らげるためのものでもないため、眠れない日が続くときは医療機関に相談してください。商品や返品・保証の条件は公式サイトで確認できます。

3. 記録は無理のない形で
状態の記録は診察で役に立ちますが、書くことで思い出してつらくなるなら、数字だけでも構いません。「今日は調子3」といった形です。B6サイズの方眼ノートのように小さくて持ち歩けるものだと、思い出したときに書けます。
4. 人との距離を、意識的に設計する
対人関係の難しさがある場合、「深く関わるか、完全に切るか」の両極になりやすい傾向があります。中間の距離を意識的に作ってみてください。週に1回だけ連絡をとる相手、あいさつだけの関係、といった形も立派な関係です。
相談先について
複雑性PTSDについて相談する場合、トラウマに関する専門的な訓練を受けた医師・心理職がいる医療機関が中心的な選択肢になります。すぐに見つからない場合は、地域の精神保健福祉センターや保健所に状況を伝えるところから始められます。
トラウマに関する専門職の学会として日本トラウマティック・ストレス学会があり、関連情報が公開されています。研究・情報発信を行う機関としては国立精神・神経医療研究センターがあります。こころの病気と相談窓口の基礎情報は、厚生労働省のみんなのメンタルヘルスにまとまっています。
複雑性PTSDに関するよくある質問
Q. 自分で「複雑性PTSDだ」と判断してもいいですか
A. 診断は医師が行うものです。ただ、自分の状態を言葉にする手がかりとして概念を知ることは役に立ちます。「こういう領域で困っている」という形で伝えてみてください。
Q. 診断名がつかないと支援は受けられませんか
A. 診断名の有無にかかわらず、生活に支障が出ているなら相談できます。医療機関によって使う診断基準が異なることもあるため、名前にこだわりすぎないほうが進めやすい場合もあります。
Q. 治療にはどれくらいの期間がかかりますか
A. 状態や生活の状況によって大きく異なります。短期間で区切りがつくものではなく、段階を踏んで進めるものだと理解しておくと、途中で落ち込みにくくなります。
Q. 家族にどう説明すればよいですか
A. 詳細を説明する義務はありません。「感情の波が出やすい時期がある」「音に敏感になっている」など、生活上の困りごとに絞って伝える方法が現実的です。
Q. 良くなったり悪くなったりを繰り返します
A. 波があるのは自然な経過です。悪い週が来たことをもって「戻ってしまった」と結論づけず、数か月単位の変化で見てください。記録があると比較しやすくなります。
Q. 支援者に何度も同じ話をするのがつらいです
A. 経過や困りごとを1枚にまとめた紙を用意しておき、それを渡す方法があります。毎回一から説明する負担を減らせます。
まとめ
複雑性PTSDは、ICD-11で位置づけられた診断名で、PTSDの症状に加えて感情調節の困難・否定的な自己概念・対人関係の困難という3つの領域がそろっている状態として説明されます。
治療は、まず安全と安定をつくり、それから記憶を扱い、生活を組み立て直すという段階を踏むのが原則です。土台づくりに時間がかかるのは、遅れているのではなく、必要な工程を進めているということです。
ここまで読めたこと自体が、力を使う作業でした。今日はここで休んで大丈夫です。
🌿 自分に合う漢方を知りたい方へ
LINEで薬剤師に相談できるオンライン漢方薬店「YOJO」

- ✅ LINEで約3分の体質チェック
- ✅ 漢方選びを薬剤師に無料で相談できる
- ✅ 相談して決めた漢方を自宅にお届け
- ✅ 取り扱いは第二類・第三類医薬品
※体質チェックと相談までは無料。つらい状態が続く場合は、まず医療機関にご相談ください


