「出張で飛行機に乗らないといけないのに、想像するだけで動悸がする」「家族旅行に行きたいけれど、機内で具合が悪くなったらと思うと申し込めない」――パニック障害のある方にとって、飛行機は不安を感じやすい場面のひとつです。
飛行機は、電車以上に「途中で降りられない」乗り物です。数時間、扉が開かない空間にいることになります。不安が強くなるのは、ごく自然なことだといえます。
ここでは、搭乗前にできる準備と、機内で使える対処を整理します。搭乗できるかどうかの判断や、薬の使い方については、事前に主治医と相談してください。この記事は治療や医師の判断の代わりになるものではありません。
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まずは主治医に相談する
フライトの予定が決まったら、できるだけ早い段階で主治医に相談してください。相談しておきたいのは、次のような点です。
- 今の状態で長時間のフライトに耐えられそうか
- 頓服薬を処方してもらえるか、飲むタイミングはいつか
- 時差のある地域へ行く場合、服薬の時間をどうずらすか
- 海外へ行く場合、薬の持ち出しに必要な書類はあるか
特に海外渡航では、処方薬の英文の証明書が必要になる場合があります。国によって持ち込みのルールが異なるため、渡航先の情報と合わせて早めに確認しておきましょう。作成には日数がかかることがあるので、出発の直前では間に合わないこともあります。

持ち込むと支えになるもの
機内は、自分で環境を変えにくい場所です。だからこそ、手元に対処の手段があるかどうかで、体感が変わります。
実際に困りやすいのが、荷物を頭上の収納棚に入れてしまい、必要なときに取り出せないという場面です。シートベルト着用サインが点灯している間は席を立てません。機内で使うものは、前の座席のポケットか、足元に置けるバッグにまとめておくのが要点です。
- ノイズキャンセリング機能付きのワイヤレスイヤホン:エンジン音は思っている以上に体に負荷をかけます。音を減らすことで落ち着きやすいと感じる方もいます(個人差があります)
- アイマスク:視界を遮ると、周囲の視線が気になりにくくなる方もいます
- 低反発素材のネックピロー:首が支えられていないと、姿勢を保つだけで疲れます
- 保湿用の立体マスク:機内は乾燥します。口もとの乾きが気になるときの備えとして持っている方が多くいます
- ミント系のタブレットやのど飴:なめると飲み込む動作が増えるため、離着陸時に口を動かすきっかけになります
- 蓋付きの小さなボトル:保安検査後に購入した飲み物を移し替えて。こまめに水分をとるためです
- 着圧ソックス:長時間座ったままで脚のむくみが気になる方の選択肢に
- 薄手のストールやブランケット:機内は冷えることがあります。冷えは不安を強めやすい要素です
- 処方されている頓服薬:預け荷物ではなく、手荷物に入れてください
薬をスーツケースに入れて預けてしまうと、機内では取り出せません。処方薬は手荷物に入れてください。乗り継ぎで荷物が遅れる可能性も考えて、数日分は身につけておくと安心です。
座席の選び方
座席は、機内での体感を大きく左右します。予約の段階で選べるので、ここは意識して決めてください。
通路側
いつでも立てる、トイレに行きやすい、圧迫感が少ない。「動ける」という感覚を保ちやすいため、選ぶ方が多い席です。
前方の席
降機が早く、客室乗務員に声をかけやすい位置です。機体の揺れも、後方に比べると穏やかに感じられることがあります。
非常口の近く
足元が広く、圧迫感が少なくなります。ただし非常口座席には利用条件があるため、事前に航空会社の案内を確認してください。
避けたほうがよい席
最後列や、トイレ・ギャレーのすぐ前は、リクライニングが制限されたり人の出入りが多かったりします。窓側の席も、両隣に人がいると「出られない」感覚が強くなることがあります。
座席が決まったら、姿勢を支える準備もしておきましょう。首が固定されていると、同じ姿勢で座り続ける負担が軽く感じられる方もいます。

機内の環境を知っておく
「何が起きているのかわからない」という状態は、不安を強めます。機内で感じる体の変化には、環境によって説明のつくものがあります。
航空会社の案内によると、水平飛行中の機内の気圧は約0.8気圧程度で、これは標高およそ2,000mの場所と同じような環境にあたるとされています。また、飛行時間が長くなると機内の湿度は下がり、長時間のフライトでは20%以下になるとされています。詳しくは日本航空(JAL)の機内環境に関する案内で説明されています。
つまり、機内で少し息苦しく感じたり、のどが渇いたりするのは、環境の影響で起こることもあります。「体がおかしくなった」ではなく「環境がそういう場所だ」と理解しておくと、感覚に振り回されにくくなります。
対策としては、こまめに水分をとる、保湿マスクを使う、アルコールやカフェインを控える、といったことが挙げられます。機内でのアルコールは、地上より影響が出やすいとされているため、不安があるときは避けるのが無難です。
搭乗前の過ごし方
- 空港に早めに着く:時間に追われた状態は、それだけで体を緊張させます
- 保安検査後に飲み物を買う:機内に持ち込める形にしておきます
- 搭乗口の近くで休む:静かな場所を探し、座って呼吸を整えます
- カフェインを控える:動悸が出やすい方は、空港でのコーヒーを控えめに
- 軽く何か食べておく:空腹はふらつきや動悸につながることがあります
- 同行者に伝えておく:「不安になったら声をかけるかもしれない」と共有しておきます
一人で搭乗する場合、客室乗務員に一言伝えておくという方法もあります。「不安が強くなることがあるので、気にかけていただけると助かります」と搭乗時に伝えておくと、いざというときの対応が早くなります。恥ずかしいことではありません。
周囲の視線が気になって落ち着かないという方は、視界を遮れるアイマスクを手元に置いておくと、目を閉じて過ごす時間をつくりやすくなります。
搭乗口で待つ時間や機内での過ごし方として、本を耳で聴くという選択肢もあります。audiobook.jpは、プロの朗読で本を聴けるサービスで、聴き放題プランは月額1,330円、14日間の無料体験があります。ダウンロードしておけばオフラインでも再生できるとされています。気分転換の一つの方法であり、不安が和らぐことを約束するものではありません。詳しくは公式サイトで確認できます。

機内で不安が高まったときの手順
その場で考えるのは難しいので、手順を決めておきましょう。
- 空調の送風口を自分に向ける:顔に風が当たると、息苦しさの体感がやわらぐことがあります
- 息を吐く時間を長めにとる:吸うより吐くほうを長く。数を数えながら行うと集中しやすくなります
- 体の位置を変える:シートベルト着用サインが消えていれば、通路に立って軽く体を伸ばします
- 冷たい水を少しずつ飲む:一気に飲まず、口に含んで飲み込みます
- 五感に意識を向ける:見えるもの、聞こえる音を数えるなど、意識を外に向けます
- 客室乗務員に伝える:我慢せずに声をかけてください。座席の移動や、水の提供など対応してもらえます
客室乗務員は、体調不良の乗客への対応に慣れています。「迷惑をかける」と考えて我慢するより、早めに伝えたほうが楽になることもあります。
フライトを選ぶときの考え方
同じ目的地でも、便の選び方によって負担はかなり変わります。予約の段階で調整できることを押さえておきましょう。
直行便か、乗り継ぎか
乗り継ぎは一便あたりの飛行時間が短くなる一方、乗り換えの移動や待ち時間が増え、遅延のリスクも重なります。「短時間なら耐えられる」タイプの方には乗り継ぎ、「移動そのものが負担」という方には直行便、と自分の傾向に合わせて選んでください。
いずれの選び方でも、座ったままの時間は長くなります。脚のむくみが気になる方は、着圧タイプのソックスを履いていく方が多いところです。
時間帯
早朝便は睡眠が削られ、体調を崩しやすくなります。前日にしっかり眠れる時間帯の便を選ぶほうが、当日の負担は軽くなります。
機材の大きさ
小型機は座席の間隔が狭く、揺れも感じやすくなります。圧迫感が苦手な方は、大型機が使われる便を選ぶと体感が変わることがあります。
予定を詰め込まない
到着後すぐに会議や観光を入れると、「間に合わせなければ」という焦りが機内での緊張につながります。到着日は移動だけにしておくくらいが、結果として旅程全体を楽にします。
段階を踏んで慣らしていく
医療の現場では、不安を感じる場面に段階的に慣れていく方法が、認知行動療法の一環として行われることがあります。ただし、いきなり長距離の国際線に挑戦するような進め方は、恐怖を強めてしまうことがあります。
飛行機の場合、まず空港に行ってみる、見送りで搭乗口の近くまで行く、短距離の国内線に乗ってみる、といった順番が考えられます。短いフライトで「無事に着いた」という経験を積むことが、次につながります。
取り組む場合は、自己流で進めず、主治医やカウンセラーと相談しながら段階を設計してください。
どうしても難しいときは
今の状態では乗らない、という判断も立派な選択です。仕事の出張であれば、オンライン会議への切り替えや、新幹線・寝台での移動を相談する方法があります。旅行であれば、行き先を国内の陸路で行ける場所に変える手もあります。
職場に事情を伝えるかどうか迷う場合、働くことと心の健康に関する相談窓口が厚生労働省 こころの耳に案内されています。伝え方を含めて相談できます。
よくある質問
Q. 頓服薬は、いつ飲めばよいですか?
A. 薬の種類や状態によって考え方が変わるため、主治医に確認してください。搭乗前に飲むよう指示される場合もあれば、症状が出てからと言われる場合もあります。
Q. 薬を飲んだあとにレンタカーを運転する予定です。
A. 薬によっては眠気や注意力の低下が起こることがあり、添付文書で運転などへの注意が示されているものもあります。移動の予定を含めて主治医に相談してください。医薬品の情報は独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)でも確認できます。
Q. 航空会社に事前に伝えたほうがよいですか?
A. 航空会社によっては、体調に配慮が必要な方向けの相談窓口が設けられています。座席の希望なども含めて、予約時に問い合わせてみるとよいでしょう。
Q. 離着陸のときが特に苦手です。
A. 耳の詰まりや揺れが重なる時間帯なので、負担を感じやすい場面です。飴をなめる、あくびをする、口を動かすといった方法で耳の違和感がやわらぐことがあります。
Q. 過去に機内で具合が悪くなり、それ以来乗れません。
A. 一度の経験がその場面と結びつくのは、よくあることです。無理に一人で克服しようとせず、医療機関に相談しながら進めてください。
Q. 家族としてできることは?
A. 「大丈夫だって」と押し切るのは避けてください。座席を通路側に取る、乗る前に休憩時間を作る、当日つらそうなら予定を変える柔軟さを持つ。そうした関わりが支えになります。
相談先
不安の症状が続いていて、日常生活や仕事に支障が出ている場合は、心療内科や精神科への相談を検討してください。どこに相談すればよいか迷うときは、厚生労働省のみんなのメンタルヘルスで、地域の精神保健福祉センターなどの窓口を確認できます。
まとめ
飛行機での不安に対しては、準備でできることが数多くあります。早めに主治医へ相談する、通路側の座席を取る、機内で使うものを手元にまとめる、機内の環境について知っておく――この4つが土台になります。
そして、つらくなったら客室乗務員に伝えてください。我慢して耐えることが目的ではありません。
短い距離から、無理のない範囲で。焦らず、コツコツいきましょう。気になる症状が続くときは、医療機関への相談を優先してください。
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- ✅ 漢方選びを薬剤師に無料で相談できる
- ✅ 相談して決めた漢方を自宅にお届け
- ✅ 取り扱いは第二類・第三類医薬品
※体質チェックと相談までは無料。つらい状態が続く場合は、まず医療機関にご相談ください


