「もう限界だから休みたい。でも、診断書ってどうやってもらうの?」――そう思って調べ始めた方に向けて、診断書を受け取るまでの流れと、費用の考え方、会社に出すときの注意点をまとめました。
先に大事な点をお伝えすると、診断書は自分で申し込んで買うものではなく、診察を受けたうえで医師が判断して発行するものです。そのため「申し込めば◯日で出る」といった保証はありません。ただ、流れを知っておくだけで、初診の場で伝えるべきことが整理でき、話がずいぶん進めやすくなります。
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診断書は何のために使うのか
診断書の使い道は、思っている以上に幅があります。用途によって書いてもらう内容が変わるため、「何に使うか」を医師に伝えることが最初の一歩です。
- 会社に休職を申し出るとき
- 業務内容や残業の制限をお願いするとき
- 傷病手当金を申請するとき(専用の様式に医師の記入欄があります)
- 失業保険の受給期間を延長するとき
- 学校や大学へ提出するとき
- 自立支援医療などの制度を申請するとき
「とりあえず診断書をください」と言うより、「会社に休職を申し出たいので、その旨を書いた診断書をお願いしたい」と伝えたほうが、必要な内容がそろった書面になります。

初診でうまく話せない、という悩み
初診でつまずく方はとても多いです。予約の電話をかけるところで力尽きる、診察室に入ったら頭が真っ白になって「大丈夫です」と言ってしまう――どれもよくあることで、あなただけではありません。
限られた診察時間の中で、体調が落ちている状態で、自分の状況を順序立てて話すのは難しいものです。だからこそ、紙に書いて持っていくのが確実です。
用意しておくと役に立つのは、次のようなものです。
- 手のひらサイズのメモ帳(伝えたいことを箇条書きにしておく)
- 1日1ページ式のノートや日付入りの日記帳(いつから、どんな症状が出ているかの記録用)
- お薬手帳と、それを入れるお薬手帳ケース(他院の処方や既往が伝わります)
- A4サイズのクリアファイル(保険証、受給者証、会社の書式などをまとめて持ち歩く用)
特に症状の記録は効果的です。「眠れない日が何日続いたか」「食欲が落ちたのはいつからか」といった具体的な情報は、医師が状態を把握するための材料になります。書式は自由で、日付と一言だけでも構いません。
メモには「いつから」「どんなときにつらいか」「日常生活で何ができなくなったか」の3つを書いておくと、短時間の診察でも伝わりやすくなります。
診断書をもらうまでの流れ
- 医療機関を予約する:心療内科・精神科は初診の予約が数週間先になることもあります。早めに複数あたっておくと安心です。
- 初診で状況を伝える:症状、いつからか、職場や生活の状況、そして「診断書が必要な理由」を伝えます。
- 医師が判断する:診察の結果、必要と判断されれば発行されます。初診で出るかどうかは医療機関の方針や状態によって異なります。
- 受け取る:当日発行される場合もあれば、1〜2週間ほどかかる場合もあります。
- 会社などに提出する:提出先の指定様式がある場合は、初診時に持参してください。
会社に独自の様式がある場合、一般の診断書とは別に作成が必要になり、費用も別途かかります。人事に「所定の様式はありますか」と先に確認しておくと、二度手間を避けられます。
費用の目安
診断書の作成は、治療そのものではないため健康保険の適用外(自己負担)となるのが原則です。厚生労働省の通知においても、療養の給付と直接関係のないサービスとして整理されています。
金額は医療機関が独自に定めているため、全国一律ではありません。一般的な目安としては、休職や勤務制限を求める比較的簡潔な内容で3,000〜5,000円程度、記載事項が多いものでそれ以上になることが多いとされています。障害年金の申請に使う診断書は様式が詳細なため、さらに高くなる傾向があります。
ただし、これはあくまで目安です。実際の金額は医療機関ごとに異なるため、予約の電話や受付で確認してください。多くのクリニックでは、料金表を掲示していたり、ウェブサイトに記載していたりします。
なお、傷病手当金の申請書に医師が記入する欄についても、記入料として別途費用が発生するのが一般的です。傷病手当金の制度そのものについては全国健康保険協会(協会けんぽ)のページで確認できます。

診断書に書かれる内容
一般的に、次のような項目が記載されます。医療機関や用途によって異なります。
- 氏名、生年月日
- 病名(診断名)
- 初診日
- 現在の症状や状態の概要
- 療養が必要な期間の見込み(例:◯月◯日より◯週間の自宅療養を要する)
- 就業に関する意見(休職が必要、勤務時間の制限が望ましい など)
- 作成日、医療機関名、医師名
ここで多いのが「病名を書かれたくない」という相談です。病名は診断書の中核にあたる項目のため、省くのは難しいのが実情ですが、記載の粒度について相談できる場合があります。気になる場合は、作成をお願いする段階で医師に伝えてみてください。
療養期間はどう決まる?
「1か月」「3か月」といった期間は、症状の程度や職場の状況を踏まえて医師が判断します。最初は短めに設定し、状態を見ながら延長していく形をとる医療機関も多くあります。
期間が切れる前に受診が必要になるため、終了日をカレンダーや手帳に書き込んでおくと、更新のタイミングを逃しません。休職中は日付の感覚が薄れやすいので、この一手間が効きます。
会社に提出するときの流れ
診断書を受け取ったら、次は職場への提出です。ここで慌てないよう、順番を確認しておきましょう。
- 提出先を確認する:直属の上司か、人事・総務か。会社によって異なります。
- 連絡方法を選ぶ:出社がつらい場合、郵送やメール添付での提出を認めてもらえることがあります。まず電話やメールで相談してください。
- コピーを取っておく:原本を提出すると手元に残りません。スマホで撮影しておくだけでも役に立ちます。
- 休職中の連絡ルールを決める:連絡の頻度や窓口を決めておくと、療養中の負担が減ります。
提出前にコピーを取るのは、意外と忘れがちですが大切です。あとから制度の申請で内容を確認したくなる場面があります。診断書のコピーや会社の様式は、A4のクリアファイルに一括で入れておくと、次の受診にそのまま持って行けます。
診断書と一緒に検討したい制度
診断書をもらう場面は、使える制度を確認するタイミングでもあります。せっかく受診したのに、後日また書類のために通院する――という無駄を減らすために、次の3つは頭に入れておいてください。
傷病手当金
健康保険に加入している方が、病気やけがで働けず給与が支払われない期間について受けられる給付です。支給額はおおむね直近の標準報酬日額の3分の2にあたる額で、支給を開始した日から通算して1年6か月が上限とされています。申請書には医師が記入する欄があるため、休職の診断書と同じタイミングで相談しておくと効率的です。
自立支援医療(精神通院医療)
指定の医療機関での精神科通院にかかる医療費の自己負担が、原則1割に軽減される制度です。世帯の所得に応じて月ごとの自己負担上限額も設定されます。申請には専用様式の診断書が必要で、これも医師に作成を依頼するものです。手続きの窓口はお住まいの市区町村になります。
失業保険の受給期間延長
すでに退職している、あるいは退職予定で、体調的にすぐ働けない場合に使う手続きです。こちらも働けない状態であることを示す医師の書面が求められます。
用途の異なる書類を一度の通院でまとめて相談すると、体力の消耗も費用も抑えられます。診察の前に、必要な書類をメモにして持っていきましょう。
診断書が出なかったときは
診察の結果、医師が「今の段階では休職の必要はない」と判断することもあります。その場合、まずはなぜそう判断されたのかを聞いてみてください。勤務時間の調整や配置転換など、休職以外の方法が提案されることもあります。
それでも状況が改善せず、納得できない場合は、別の医療機関で相談する選択肢もあります。ただし、短期間に複数の医療機関を渡り歩くのは負担が大きく、治療の継続という点でも望ましいとはいえません。まずは主治医に、生活の中で何ができなくなっているかを具体的に伝え直してみることをおすすめします。
復職するときにも診断書が要る
見落とされがちですが、休職から戻るときにも「就業可能」といった内容の診断書を求められるのが一般的です。休職の診断書だけ用意して、復職時の分を想定していないと、復帰の日程が後ろにずれてしまうことがあります。
復職の判断は、主治医の意見だけでなく、会社の産業医面談を経て決まることが多くあります。主治医は生活面の回復を、産業医は業務に耐えられるかを見ている、と役割が分かれているためです。両者の見立てがずれることもあるので、復職の見通しは早めに人事と共有しておくと混乱を避けられます。
復帰直後は、短時間勤務から始める、残業を制限する、負荷の高い業務から外れる、といった配慮を受けられる場合があります。これらは診断書の「就業に関する意見」欄に書いてもらう内容にも関わるため、希望があれば主治医に伝えてください。
休職から元の職場へ戻る道のほかに、離職したあとで働き方を整え直したい場合は、就労移行支援のミラトレという選択肢もあります。パーソルダイバースが運営する事業所で、休職・離職のあとに長く働き続けたい方向けの支援を公式サイトで案内しています。症状を治すサービスではなく、利用には自治体の受給者証が必要です。復職を目指す場合は、主治医・産業医・職場と相談してください。詳しい内容は公式サイトで確認できます。

よくある質問
Q. 初診の当日に診断書はもらえますか?
A. 医療機関の方針と、そのときの状態によって異なります。当日発行に対応しているクリニックもあれば、経過を見てから判断するところもあります。急ぐ事情がある場合は、予約時に「初診で診断書を相談したい」と伝えておくとよいでしょう。
Q. 診断書に医療保険は使えないのですか?
A. 診断書の作成料は原則として保険適用外です。ただし、診察そのものは保険診療の対象になります。
Q. 有効期限はありますか?
A. 診断書そのものに一律の期限があるわけではありませんが、提出先が「発行から3か月以内」などの条件を設けている場合があります。提出先に確認してください。
Q. 家族が代わりに受け取れますか?
A. 医療機関の規定によります。委任状や本人確認書類が必要になることが一般的です。事前に問い合わせてください。
Q. 診断書を出したら、会社に居づらくなりませんか?
A. 不安はもっともです。ただ、体調を崩したまま働き続けるほうが、結果として長い休みにつながることもあります。産業医や社内の相談窓口を挟んで話を進める方法もあります。働く人の心の健康に関する相談先は厚生労働省 こころの耳にまとめられています。
Q. 費用を抑える方法はありますか?
A. 同じ内容の診断書を何通も作ると、そのぶん費用がかさみます。提出先が複数ある場合は、原本が必要なのかコピーで足りるのかを先に確認しておくと、通数を減らせます。
まとめ
診断書は、休むための手段であると同時に、制度を使うための入口でもあります。用途を先に伝える、症状の記録を持っていく、費用は医療機関に確認する――この3つを押さえておけば、初診での不安はかなり減らせます。
心療内科や精神科の受診そのものに抵抗がある方は、国立精神・神経医療研究センターのこころの情報サイトで医療機関や相談窓口の情報を確認してから動くのもよい方法です。
気になる症状が2週間以上続いているなら、それは休むきっかけとして十分な理由になります。ゆっくりでいいので、まずは予約の電話から始めてみてください。
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