「カウンセリングを受けてみたいけれど、いくらかかるのか分からなくて踏み出せない」――これは相談をためらう理由として、とてもよく挙がるものです。医療機関のように公定価格があるわけではないため、調べても金額の幅が大きく、判断がつきにくいのが実情です。
ここでは機関別のおおまかな料金の目安、料金が高くなる理由、そして負担を抑えるための現実的な方法を整理します。金額の見通しが立つと、「試してみる」という判断がしやすくなります。
ここで紹介する金額は記事執筆時点で確認できた目安であり、機関や担当者、時間、形式によって変わります。実際の料金は各機関の公式情報でご確認ください。
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カウンセリング料金の全体像
民間の心理相談機関を対象に行われた調査では、50分1回あたりの平均はおよそ6,600円という結果が報告されています。ざっくり言えば、1回50分でおおむね5,000円〜10,000円というのが日本での目安です。
ただし、この幅の中でも形式によって傾向が分かれます。
| 形式 | 1回あたりの目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 対面(民間カウンセリングルーム) | 7,000円〜15,000円 | 相談室の家賃や設備費が含まれる |
| オンライン(ビデオ・電話) | 4,000円〜7,000円 | 1回50分前後の設定が多い |
| 医療機関の自費カウンセリング | 5,000円〜10,000円程度 | 医療機関によって幅がある |
| 公的機関・自治体の相談窓口 | 無料〜低額 | 回数や時間に制限がある場合も |
| 職場のEAP・学校の相談室 | 無料のことが多い | 所属していることが利用の条件 |
オンラインサービスでは、cotreeの話すカウンセリング(ビデオ・電話)が45分1回、Kimochiが60分1回といった単位で提供されており、いずれも1回あたり5,000円台からの価格帯が案内されています。ただし、担当するカウンセラーやプランによって金額は変わり、改定されることもあります。Kimochiのように月額のプラン制で、最低利用期間や解約条件が設けられているサービスもあるため、実際の料金と契約条件は申し込み前に各公式サイトでご確認ください。

なぜカウンセリングは高いと感じるのか
「1回6,000円は高い」と感じる方は多いはずです。ただ、この金額には理由があります。
1.原則として保険が使えない
公的医療保険が適用されるのは、医師や一定の要件を満たす専門職が行う精神療法などに限られます。民間のカウンセリングルームやオンラインサービスで受けるカウンセリングは、原則として自費です。3割負担が効かないため、そのまま全額が自己負担になります。
2.1対1で時間を占有するサービスである
カウンセリングは1回50分前後、担当者が1人の相談者だけに向き合います。まとめて多人数を扱えないため、時間あたりの単価が下がりにくい構造になっています。
3.準備と記録の時間が料金に含まれる
面談の前後には、記録の作成、方針の検討、必要に応じた他機関との連携などの時間が発生します。表に見えている50分の裏側にも作業があります。
4.担当者の教育と研鑽にコストがかかる
公認心理師や臨床心理士になるには大学院での学びが求められ、資格取得後も研修やスーパービジョン(指導を受ける仕組み)を続けるのが一般的です。こうした継続的な学習の費用も背景にあります。
負担を抑える5つの方法
費用がネックになっているなら、次の順番で検討してみてください。上に書いたものほど、負担が小さくなります。
1.無料の相談窓口から試す
各都道府県の精神保健福祉センターや保健所、市区町村の相談窓口では、無料または低額で相談できます。職場に従業員支援プログラム(EAP)があれば、そちらも無料で利用できることが多いです。相談窓口の一覧は厚生労働省のこころの耳で確認できます。
2.医療機関の受診を検討する
気分の落ち込みや不安が強く、生活に支障が出ている場合は、心療内科・精神科の受診が選択肢になります。医師による診察や精神療法は保険が適用されるため、自費のカウンセリングより負担は小さくなります。
3.自立支援医療(精神通院医療)を利用する
精神疾患で継続的な通院が必要と判断された場合、医療費の自己負担を軽くする制度があります。対象と認められると、通院医療にかかる自己負担が原則1割になります。申請は市区町村の窓口で、医師の診断書が必要です。有効期限は原則1年で、継続には更新手続きが必要になります。
4.オンラインを選ぶ
対面よりも1回あたりの料金が抑えられているうえ、交通費と移動時間もかかりません。片道1時間かけて通うことを考えると、実質的な負担の差はさらに大きくなります。
5.医療費控除を確認する
医師の診療にあたるものや、治療のために必要と認められる支出は、確定申告で医療費控除の対象になる場合があります。制度の詳細と対象範囲は国税庁のサイトで確認できます。領収書は捨てずに残しておきましょう。

費用の総額をどう見積もるか
1回の金額だけを見ていると、続けたときの負担が読めません。ざっくりでよいので、期間で考えてみましょう。
- 週1回ペース:1回6,000円なら月およそ24,000円
- 隔週ペース:1回6,000円なら月およそ12,000円
- 月1回ペース:1回6,000円なら月およそ6,000円
最初は週1回で始め、状態が落ち着いてきたら隔週、月1回と間隔を空けていくという進め方が一般的です。続けられるペースを最初に決めておくほうが、途中で急に途切れるより結果的に良い形になります。予算の上限を初回に伝えておくのは、失礼なことではありません。
継続を考えるなら、費用の記録を残しておくこともおすすめします。医療費控除の申告にも使えますし、家計の中でどのくらいの位置づけになっているかが見えます。レシートをまとめて入れておける蛇腹式のドキュメントファイルや、A5サイズの家計ノートを1冊用意しておくと管理が楽になります。相談内容のメモと支出の記録を同じノートにまとめてしまう方法も、続けやすくて実用的です。
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料金以外に確認しておきたいこと
金額だけで比較すると、あとから思わぬ負担が出てくることがあります。申し込み前に次の点も確認してください。
- 初回料金と2回目以降の差:初回のみ割安・初回のみ高め、どちらのパターンもあります
- キャンセル規定:何時間前までなら無料か、当日キャンセルは何割かかるか
- 延長料金:時間を超えた場合の扱い
- 支払い方法:クレジットカード対応か、都度払いか前払いか
- 最低利用期間:サブスクリプション型のサービスに設定されている場合があります
とくにキャンセル規定は見落としがちです。体調が優れず当日に休みたくなる可能性を考えると、前日までの連絡で無料になるかどうかは事前に押さえておきたいところです。


状況別・予算の組み立て方
同じ「カウンセリングを受けたい」でも、置かれている状況によって現実的な予算の組み方は変わります。3つのパターンで考えてみます。
まず一度話してみたい段階
この段階では、いきなり継続を前提にする必要はありません。自治体の相談窓口や職場の相談窓口を使えば費用はかかりませんし、オンラインサービスの単発利用でも5,000円前後で試せます。合わなければ次を探せばよい、と考えておくと気が楽になります。
数か月かけて取り組みたい段階
継続を前提にするなら、月あたりの上限額を先に決めておきましょう。週1回が理想でも、隔週で半年続けるほうが結果的に積み重なるということは珍しくありません。途中で費用が苦しくなって突然やめるより、最初から無理のない間隔で設計するほうが安定します。
症状があって治療も必要な段階
眠れない、食欲がない、気分の落ち込みが続くといった状態であれば、自費のカウンセリングを探す前に医療機関の受診が先になります。保険が適用されるうえ、必要に応じて自立支援医療の申請という選択肢も出てきます。治療が必要な状態を自費のカウンセリングだけで抱え込むのは、費用の面でも負担が大きくなりがちです。
- 住んでいる自治体の精神保健福祉センターの相談日を調べたか
- 勤務先に従業員支援プログラム(EAP)があるか確認したか
- 健康保険組合の福利厚生に相談サービスが含まれていないか確認したか
- オンラインと対面の両方で見積もったか
- 領収書を保管しているか
意外と見落とされやすいのが、健康保険組合の福利厚生です。組合によっては、提携先のカウンセリングを割引価格や無料で利用できる仕組みを用意している場合があります。加入している組合のサイトを一度確認してみてください。
カウンセリング費用に関するよくある質問
Q. 1回だけ受けることもできますか?
A. 単発での相談を受け付けている機関やサービスは多くあります。まず1回試して、続けるかどうかを判断する使い方も可能です。
Q. 学生でも受けられる安い相談先はありますか?
A. 大学の学生相談室は在学中であれば無料で利用できるのが一般的です。また、自治体の相談窓口も年齢を問わず利用できます。
Q. 保険証は使えますか?
A. 民間のカウンセリングルームやオンラインサービスでは、原則として保険証は使えません。医療機関で医師が行う精神療法などは保険が適用されます。
Q. 会社の相談窓口を使うと、人事に伝わりませんか?
A. 従業員支援プログラムは外部の専門機関が担当し、相談内容が本人の同意なく会社へ共有されない仕組みが一般的です。ただし運用は会社ごとに異なるため、利用前に守秘の範囲を確認してください。
Q. 高額なコースをすすめられたら?
A. 長期契約や高額なパッケージを強くすすめられた場合は、その場で決めずに持ち帰って検討してください。心理職の相談は、通常1回ごとの支払いか、無理のない範囲の回数券で進められます。
Q. 途中でやめても大丈夫ですか?
A. 問題ありません。ただ、可能であれば「今回で区切りにしたい」と伝えて終えるほうが、次に相談したくなったときに再開しやすくなります。
まとめ:金額より「続けられるか」で選ぶ
カウンセリングの料金は、対面でおよそ7,000円〜15,000円、オンラインでおよそ4,000円〜7,000円、公的窓口や職場の相談窓口なら無料または低額というのが目安です。原則として自費になるため、金額の負担は小さくありません。
だからこそ、まずは無料の窓口で話してみる、医療機関の受診が必要な状態かを確認する、使える制度がないか調べる――この順番で検討するのが現実的です。そのうえで自費のカウンセリングを選ぶなら、続けられるペースと予算を最初に決めておきましょう。
気分の落ち込みや不眠が2週間以上続いている場合は、費用の比較を続けるより先に医療機関へ相談してください。心の病気に関する基礎情報は、厚生労働省のみんなのメンタルヘルスにまとめられています。
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