一日の終わりに、あたたかい飲みものを手にしてほっと息をつく。そんな時間を持ちたいと思いながら、気づけばスマホを見たまま寝落ちしている――そういう方は少なくないのではないでしょうか。
ハーブティーは、その「ひと息つく時間」を形にしてくれる飲みものとして、長く親しまれてきました。カフェインを含まないものが多く、夜の時間帯にも選ばれやすいのが特徴です。
ただ、いざ買おうとすると種類が多すぎて、どれを選べばいいのか分からないまま棚の前で固まってしまうという声もよく聞きます。香りの好みは人それぞれで、パッケージを見ただけでは中身の想像がつきにくいためです。
ここでは、リラックスタイムのお供として定番になっているハーブの種類、選び方の基準、おいしく淹れるためのコツ、そして飲むうえで気をつけたいポイントまでをまとめて紹介します。

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ハーブティーとは何か:紅茶や緑茶との違い
ハーブティーは、植物の葉・花・種・根などを乾燥させ、お湯で成分を抽出した飲みものです。紅茶や緑茶が同じ「チャノキ」という一種類の植物から作られるのに対し、ハーブティーはカモミール、ミント、ルイボスなど、まったく違う植物からそれぞれ作られる点が大きく異なります。
そのため香りも味わいも幅が広く、花のように甘い香りのものから、すっと鼻に抜ける清涼感のあるもの、麦茶に近い香ばしさのものまでさまざまです。
また、原料がチャノキではないため、多くのハーブティーはカフェインを含みません。厳密には「ハーバルティー」「ティザーヌ」と呼ばれることもありますが、日本では総称としてハーブティーという言い方が定着しています。
ハーブティーは医薬品ではなく食品に分類されます。体調に関する悩みを解決する目的で選ぶものではなく、香りや味を楽しむ嗜好品として付き合うのが基本です。
リラックスタイムに選ばれている定番のハーブ
売り場でよく見かける、入手しやすいハーブを紹介します。まずはティーバッグタイプで一種類ずつ試してみるのが分かりやすい方法です。
カモミール
りんごに例えられる、やわらかく甘い香りが特徴です。ヨーロッパでは古くから就寝前の飲みものとして親しまれてきた歴史があり、日本のスーパーでもいちばん見つけやすいハーブのひとつです。
クセが少なく飲みやすいため、ハーブティーが初めての方の入り口としてよく選ばれます。市販のカモミールのティーバッグは個包装のものが多く、職場のデスクに置いておく使い方もしやすいです。なお、キク科の植物なので、キク科アレルギーのある方は避けてください。
ペパーミント
スーッとした清涼感のある香りが特徴です。食後や、気分を切り替えたいときの一杯として選ばれることが多く、アイスにしても香りが立ちます。ペパーミントのティーバッグは、カモミールとブレンドされた商品も広く流通しています。
レモンバーム
レモンに似た爽やかな香りを持つ、シソ科のハーブです。酸味は強くなく、まろやかな飲み口。ミントほど刺激的ではないため、清涼感がほしいけれど強すぎるのは苦手、という方に向いています。
ルイボス
南アフリカ原産の植物から作られる、赤みのある色が特徴のお茶です。ノンカフェインで、麦茶に近い感覚で日常的に飲まれています。ルイボスティーのティーバッグは水出し対応の商品も多く、夏場に大きめのポットでまとめて作っておく方法も一般的です。
ラベンダー
香りの印象が強く、好みがはっきり分かれるハーブです。単体だとやや薬草のような風味を感じる方もいるため、カモミールなどとブレンドされたものから試すと入りやすくなります。
ローズヒップ
はっきりした酸味が特徴で、鮮やかな赤い色が出ます。ハイビスカスとブレンドされた商品が定番で、甘みが欲しいときははちみつを少し落とす飲み方も広く親しまれています。

ハーブティーの選び方:5つの基準
1. ティーバッグかリーフ(茶葉)か
手軽さを優先するならティーバッグ、香りの立ち方や見た目を楽しみたいならリーフタイプが向いています。続けられるかどうかは、淹れる手間の少なさで決まる部分が大きいため、最初はティーバッグから始めるのが現実的です。
リーフタイプを選ぶ場合は、茶こし付きのティーポットやステンレスのティーストレーナーがあると片付けまで含めて楽になります。毎晩カップに茶葉を入れて、あとから茶こしを洗うのがめんどうで続かなかった、という話はよく聞きます。
2. シングルハーブかブレンドか
一種類だけの「シングルハーブ」は、そのハーブの香りをまっすぐ味わえます。一方で複数を組み合わせた「ブレンド」は、飲みやすく整えられていることが多く、クセの強いハーブが苦手な方でも取り入れやすい選択肢です。
3. カフェインの有無
ハーブティーの多くはノンカフェインですが、マテ茶のようにカフェインを含む原料もあるため、夜に飲みたい場合はパッケージの表示を見ておくと安心です。紅茶がブレンドされた商品も同様です。
4. 原材料の産地・オーガニック表示
有機JASマークや海外のオーガニック認証がついた商品もあります。価格は上がる傾向にありますが、原料の管理方法を重視したい方には判断材料になります。
5. 内容量と保存のしやすさ
ハーブは香りが命で、開封後は少しずつ香りが抜けていきます。ひとり暮らしで飲む頻度が高くない場合は、大容量よりも個包装のティーバッグのほうが最後までおいしく飲みきりやすいです。リーフを買う場合は、密閉できる遮光の保存容器(キャニスター)があると扱いやすくなります。
おいしく淹れるためのコツ
同じ茶葉でも、淹れ方で香りの立ち方はかなり変わります。難しい手順はいりません。
- お湯はしっかり沸かしてから注ぐ(ぬるいと香りが出きらない)
- 蒸らしている間はふたをする(カップならソーサーや小皿でも代用可)
- 蒸らし時間の目安は3〜5分。長く置きすぎると渋みや苦みが出やすい
- ティーバッグを最後に強く絞らない(雑味の原因になる)
ふたをするかどうかは、思っている以上に差が出ます。ハーブの香り成分は湯気と一緒に逃げていくため、ふたをして蒸らすだけで香りの残り方が変わります。
甘みが欲しいときは、はちみつやてんさい糖を少量。酸味の強いローズヒップ系には特に合わせやすい組み合わせです。ただし、1歳未満の乳児にはちみつを与えることは避けてください。
いつ飲む?習慣として続けるコツ
飲むタイミングに決まりはありませんが、「いつ飲むか」を先に決めておくと習慣になりやすくなります。
- 朝:一日の始まりに、香りのはっきりしたミント系を選ぶ方が多い時間帯です
- 仕事の合間:デスクで気分を切り替えるきっかけとして。個包装のティーバッグが便利です
- 夕食後:食後の一杯として、ノンカフェインのものが選ばれやすい時間帯です
- 就寝前:寝る直前に大量に飲むとトイレで目が覚めてしまうため、量は控えめに
続けるうえでのコツは、道具と場所を固定してしまうことです。お気に入りのマグカップと電気ケトルを手の届く場所にまとめておくだけで、「わざわざ用意する」という心理的なハードルが下がります。
お湯を沸かす手間も、続くかどうかを分ける要素です。温度設定ができるケトルなら、蒸らしに使うお湯の準備をボタン1つで済ませられます。

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飲むときに気をつけたいこと
- ハーブティーは食品であり、医薬品ではありません。治療の代わりになるものではありません
- 妊娠中・授乳中の方、持病のある方、小さなお子さんが飲む場合は、事前に医師や薬剤師へ相談してください
- 飲んでいる薬がある場合、植物由来の成分が薬の働きに影響することがあります。自己判断で組み合わせず、かかりつけへ確認してください
- キク科・シソ科など、植物によってはアレルギーの原因になります。アレルギー体質の方は原材料表示を確認してください
- 体に合わないと感じたら、飲むのをやめてください
ハーブや健康食品と医薬品の関係については、厚生労働省の「統合医療」情報発信サイト(eJIM)で、中立的な情報が公開されています。広告や口コミではなく、こうした公的な情報源で確認する習慣を持っておくと安心です。
また、健康食品の広告表示をめぐるトラブルの相談事例は国民生活センターでも公開されています。「これを飲めば悩みが解消する」といった強い表現をうたう商品には、いったん距離を置いて考えてみてください。
気分の落ち込みや不眠が続くときは
ここまで紹介してきたのは、あくまで日常のひと息をつくための飲みものの話です。
眠れない日が2週間以上続いている、気分の落ち込みが抜けない、これまで楽しめていたことに興味が持てない――そうした状態が続いている場合は、飲みもので何とかしようとするより、医療機関や公的な相談窓口に一度話をしてみるほうが早い場合があります。
働く方向けの相談先や、こころの不調に関する基礎的な情報は、厚生労働省のこころの耳にまとまっています。
ハーブティーに関するよくある質問
Q. ハーブティーは毎日飲んでも大丈夫ですか?
A. 一般的な飲用量であれば、日常的に楽しまれている飲みものです。ただし特定の一種類を大量に飲み続けることは想定されていません。種類を変えながら、常識的な量を守って楽しんでください。持病がある方や薬を飲んでいる方は、かかりつけへ相談してからにしましょう。
Q. 味が苦手でした。どうすればいいですか?
A. 蒸らし時間を短くする、ブレンドタイプに変える、はちみつやレモンを少量加える、といった調整で印象が変わることがあります。それでも合わない場合は、無理せず別の種類に切り替えてください。ミント系とローズヒップ系では、味の方向性がまったく異なります。
Q. 妊娠中でも飲めますか?
A. 植物によって扱いが異なるため、一律には言えません。妊娠中・授乳中の方は、自己判断せず、産婦人科の医師や薬剤師に原材料を伝えたうえで確認してください。
Q. 子どもに飲ませてもいいですか?
A. 年齢や体格によって適した量が異なります。かかりつけの小児科へ相談してから判断してください。また、1歳未満の乳児にはちみつを与えることは避けてください。
Q. 開封後はどのくらい持ちますか?
A. 商品ごとに賞味期限が設定されていますが、開封後は香りが少しずつ抜けていきます。直射日光と湿気を避け、密閉できる容器で保存し、早めに飲みきるのが基本です。
Q. 水出しでも作れますか?
A. 水出しに対応した商品であれば可能です。ルイボスなどは水出し用の表示がある商品が多く流通しています。ただし常温で長時間放置せず、冷蔵庫で保存し、その日のうちに飲みきってください。
Q. カフェインを避けたいのですが、見分け方はありますか?
A. パッケージの「ノンカフェイン」「カフェインレス」表示と、原材料欄を確認してください。紅茶葉やマテ茶がブレンドされている商品はカフェインを含みます。
まとめ:気負わず、香りを楽しむところから
ハーブティーの選び方を整理すると、次の3点に絞られます。
- まずはティーバッグで、一種類ずつ香りを試してみる
- 夜に飲むならカフェインの有無を表示で確認する
- ふたをして3〜5分蒸らす。それだけで香りの残り方が変わる
大切なのは、正しい飲み方を守ることよりも、お湯を沸かして、香りを吸い込んで、ひと息つくという時間そのものです。うまくいかない日があっても構いません。飲みたいと思った日に、好きな香りを選ぶ。それくらいの距離感で付き合っていくのが、いちばん長続きします。
そして、気になる不調が続く場合は、飲みものではなく専門家に相談することを検討してください。
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